|
|
|
|
2015年4月8日
最近の税法改正及び今後の改正予定につきまして一般的な内容のポイントを記載させていただきます。
〔1〕相続税・贈与税
|
(1)相続税が強化されました。
平成26年までの相続 平成27年1月1日からの相続
≪定額控除≫ 5,000万円 3,000万円
≪法定相続人比例控除≫ 1,000万円 600万円
≪税 率≫ 最高50% 最高55%
従来は奥さんと子供2人のご主人が亡くなった場合相続財産が(5,000万円+1,000万円×3人)8,000万
を超えなければ相続税の申告の必要がなかったのですが、平成27年1月1日以降亡くなった場合は
(3,000万円+600万円×3人)4,800万円を超えたら相続税の申告が必要になります。
(2)相続税で「小規模宅地等の特例」の条件が緩和されました。
①自宅の土地について相続税評価額を80%減額できますが、その上限面積が240平方メートルから
330平方メートルに拡大されました。
②亡くなった人の自宅に加え、経営していた会社や工場の土地も400平方メートルまで80%減額でき
るようになりました。以前は同時にフル活用できませんでした。
(3)事業承継の際の納税猶予制度の適用条件が緩和されました。非上場株式の相続税・贈与税の納税
猶予制度は、株式の3分の2まで、相続税の80%の支払いを先送りするものですが、相続発生前の事
前確認がなくなり、従業員の人数維持条項も緩和されました。猶予を打ち切られた場合の罰金とし
て取られる利子税についても2.1%から0.9%に引き下げられました。
(4)相続時精算課税に改正がありました。
贈与者の年齢が65歳以上から60歳以上に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫が追加されます。
以上(1)~(4)はいずれも平成27年1月1日以降の相続・贈与に適用されます。
(5)親や祖父母から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が平成27年4月1日から
創設されました。
従来の教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置との比較は次の通りです。
制度 |
直系尊属から結婚・子育て資金の
一括贈与を受けた場合の贈与税非課税 |
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた
場合の贈与税非課税 |
拠出期限 |
平成27年4月1日~31年3月31日 |
平成25年4月1日~31年3月31日 |
受贈者 |
20歳以上50歳未満の者(子・孫) |
30歳未満の者(子・孫) |
非課税限度額 |
受贈者1人につき1,000万円
ただし、結婚関係費用は300万円 |
受贈者1人につき1,500万円
ただし、学校等以外に支払う金銭は500万円 |
銀行等の契約 |
結婚・子育て資金管理契約 |
教育資金管理契約 |
主な使途 |
挙式費用、新居の住居費、引越費用、
不妊治療費、出産費用、産後ケア費用、
子の医療費、子の保育費等 |
入学金、授業料、入園料、学用品の購入費、
修学旅行費等、27年度改正で通学定期券代
や留学渡航費等を追加 |
契約終了の事由 |
①受贈者が50歳に達した場合
②受贈者が死亡した場合
③信託財産等の価額が零となった場合で
終了の合意 |
①受贈者が30歳に達した場合
②受贈者が死亡した場合
③信託財産等の価額が零となり終了の合意 |
契約終了時の残額 |
使い残しに対して贈与税課税、受贈者死亡の場合は非課税 |
使い残しに対して贈与税課税
受贈者死亡の場合は非課税 |
契約期間中に
贈与者が死亡した場合 |
残高については相続税の加算
孫等への2割加算の対象としない |
残高については相続税に加算しない |
(6)住宅資金の贈与非課税制度が拡充されました。
親や祖父母から住宅購入資金をもらった時にかかる贈与税は、省エネや耐震性能に優れた住宅やバ
リアフリー住宅の購入の場合、1,000万円まで非課税であったが、平成27年1月1日から1,500万円に
拡大されました。(平成28年1月1日から平成31年6月30日までの間は最大3,000万円)。
一般住宅は省エネ住宅などより一律500万円低い金額となります。
(7)相続財産の土地等を売却した場合、所得税の計算上、土地等の売却金額から取得費を控除した残
額が課税対象ですが、従来取得費に相続した全ての土地等に対応する相続税相当額を加算すること
ができたのですが、平成27年1月1日以後の相続では売却する土地等に対応する相続税相当額だけ加
算することとされました。
|
〔2〕個人の所得税
|
(1)平成27年分以後の所得税について、課税所得4,000万円超について45%の税率が設けられました。
住民税の税率は一律10%ですので、最高税率は55%になります。
(2)給料については給与所得控除を差し引いて給与所得となりますが、現在給与収入1,500万円以上に
ついては給与所得控除の上限245万円が設けられていますが、次の様に引き下げられます。
給与収入 給与所得控除の上限
現 在 1,500万円以上 245万円
平成28年分 1,200万円以上 230万円
平成29年分以後 1,000万円以上 220万円
(3)給与所得者について平成28年分以後その年中の特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える
場合、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算します。
特定支出は通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費及び勤務必要経費(図書費、衣服費、
交際費等で65万円限度)で給与等の支払者により証明されたものです。
(4)ふるさと納税が拡充されました。
ふるさと納税は、居住地とは別の都道府県や市町村に寄付すると、寄付額から2,000円を引いた金額
が住民税と所得税から減額される仕組みです。
減額される寄付額には上限(個人住民税所得割の1割)がありますが、これが平成27年分から2割に
引き上げられます。又減税を受けるには、寄付の領収書を添えて翌年に税務署に確定申告する必要
があったが、給与所得者について、平成27年度から5つの自治体までなら、確定申告なしで自動的
に減税される仕組みが創設されました。
(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。自営業者などは、確定申告が必要なことに変わりありませ
ん。
(5)財産債務調書(従来の財産債務明細書)
根拠法令が所得税法から国外送金等調書法に変わります。これに伴い、平成26年分の財産債務明細
書記載の価額をそのまま転記することはできず、平成27年12月31日時点の時価を記載しなければな
りません。
又提出者は、従来の年所得が2,000万円超、かつその年の12月31日時点で有する①財産の価額の合計
額が3億円以上、又は②有価証券の価額の合計額が1億円以上の者となります。
平成28年1月1日以後提出分から適用されます。
(6)ゴルフ会員権等の譲渡損失を他の所得と損益通算することはできなくなりました。
平成26年4月1日以後ゴルフ会員権やリゾート会員権等の譲渡損失を他の所得と損益通算することで
きなくなりました。
(7)日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類添付が義務化されました。
日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用を受けるには平成28年分以後次の2つの書類が必要
になります。
①納税者の親族であることを確認できる書類
(戸籍の附票の写し、出生証明書等)
②納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認できる書類
(クレジットカード利用明細書、送金依頼書等)
(8)富裕層の海外移住による税逃れの防止策が立てられました。
①平成27年7月から出国時に1億円を超える金融資産をもつ富裕層の株式の含み益に、所得税と住民
税合わせて20%を課税する仕組みが導入されることになりました。原則として、出国時に他の所得
と一緒に申告することが必要です。
②帰国予定の人は、出国時に納税の猶予を申告し、国が定めた期間内に株式を売却せずに戻れば、
課税が免除されます。
この納税の猶予は、原則として5年間で、最長5年の延長も認められます。
(9)NISAが拡充されます。
①20歳未満を対象とした「ジュニアNISA」が創設されました。
年間の投資上限額は80万円です。
平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申し込みがされ、同年4月1日から当該未成年者口座に
受け入れる上場株式等について適用します。
②従来年間100万円を上限としていた投資上限額について、平成28年からは年間120万円まで引き上げ
られます。
①,②の改正により実質的な投資枠は累計で大人1人当り600万円、子ども1人当たり400万円となります。
(10)平成26年分の確定申告時から国外財産調書制度が開始しています。
非永住者以外の居住者で、その年の12月31日において、時価5,000万円を超える国外財産を有する場
合には、国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに所轄税務署に提出しなければなりません。
|
〔3〕法人税
|
(1)法人税率が引下げられます。
現行の法人税率25.5%から、平成27年4月1日以後開始事業年度は23.9%に引下げられます。
(中小法人の年800万円以下の所得金額は15%のままです)
(2)欠損金の繰越控除制度の見直しがされます。
①控除限度額
現行課税所得の80%までとされている控除限度額を27年度から28年度については所得金額の65%まで、
29年度以降については50%までとされます。
②繰越期間
平成29年度以降生じる欠損金について9年から10年に延長されます。これに伴い、帳簿書類の保存期間、
欠損金に係る更正及び更正の請求期間も10年に延長します。
(3)受取配当等の益金不算入について不算入割合が一部縮減されました。
平成27年4月1日以後開始事業年度の所得に対する法人税から適用されます。
現行との対比表は次のとおりです。
現 行 |
27年度 税制改正 |
現行 |
持株割合 |
不算入割合 |
負債利子
控除 |
区分 |
持株割合 |
不算入割合 |
負債利子
控除 |
完全子法人株式等 |
100% |
100% |
無 |
完全子法人株式等 |
100% |
100% |
無 |
関係法人
株式等 |
25%以上 |
100% |
有り |
関係法人
株式等 |
3分の1超~100%未満 |
100% 有り |
有り |
その他の
株式等 |
5%超~
3分の1以下 |
50% |
無 |
上記以外の株式等 |
25%未満 |
50% |
有り |
非支配目的株式等 |
5%以下 |
20% |
無 |
(4)新税(国税)として、地方法人税が創設されます。
対応して他の地方税が減少しますので、全体としての税率は変りません。
平成26年10月1日以後の開始事業年度から適用されます。
資本金1億円以下の場合の新旧比較税率は次の通りです。
旧 新
都道府県民税 5% 3.2%
市町村民税 12.3% 9.7%
地方法人税(国税) ― 4.4%
法人事業税 5.3% 6.7%
地方法人特別税(国税) 81% 43.2%
(注1)地方法人特別税(国税)は段階的に縮小されて、その分が法人事業税に戻ります。
(注2)地方法人税は、法人税申告書別表一(一)で法人税と併せて国に納付されます。
|
〔4〕個人の所得税と法人税両方に共通する改正
|
(1)美術品等に係る改正がありました。
①取得価額が100万円未満などの美術品等について、減価償却できることとなりました。古美術品の
歴史的価値や希少価値があり、代替性のないものは除きます。平成27年1月1日以後取得のものから
とされていますが、平成26年12月31日までの取得分(既存取得資産)であっても、平成27年1月1日
以後最初の開始事業年度から償却できます。個人事業者については平成27年分(平成28年申告分)
の所得税から償却できます。
②償却資産の取扱いは次の通りです。
新規取得資産…全法人、個人事業者対象。平成27年1月1日取得分は平成27年度の申告から課税され
ます。
既存取得資産…個人事業と12月決算法人は平成27年度の申告から課税されます。その他の法人は
平成28年度から申告対象となります。
(注)12月決算法人と個人事業者が減価償却資産となる美術品等について、平成27年度では申告してい
ない場合でも、平成28年度の申告から対象としても平成27年度の申告漏れについては延滞金をか
けないこととされています。
③耐用年数は金属製のものであれば15年、その他のものであれば8年です。
(2)所得拡大促進税制が拡充されました。
①所得拡大促進税制は、企業に従業員の賃上げを促すことをねらいとして、給与支給総額を増やすと
増加分の10%を法人税額又は所得税額から控除できるという制度です。(法人税額又は所得税額の
10%(中小企業者は20%)が限度額です。)青色申告が条件です。
②平成28年度と平成29年度の適用条件は、当初給与支給総額を平成24年度から5%増やした場合でした
が、大企業は平成28年度に限って4%増、中小企業は平成28年度、29年度を3%増にすれば適用される
ことに改正されました。
③適用要件
適用年度において次の3要件を全て満たす必要があります。
Ⓐ雇用者給与等支給増加額≧基準雇用者給与等支給額×3%
上記%は平成25,26年度は2%、平成27年度は3%、平成28,29年度は②によります。
雇用者給与等支給増加額=適用年度の雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額
(注)②③における年度は例えば28年度は28年4月1日以降開始事業年度をいいます。
基準雇用者給与等支給額とは、基準事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入される国内雇
用者に対する給与等の支払額をいいます。(パート、アルバイトを含みますが、役員、使用人兼務
役員及び役員の特殊関係者を除く)
基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の
前日を含む事業年度をいいます。
Ⓑ雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額
雇用者給与等支給額とは、適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入される国内雇用者に対
する給与等の支給額をいいます。
比較雇用者給与支給額とは、適用年度開始の日の前日を含む事業年度における雇用者給与等支給額
をいいます。
Ⓒ平均給与等支給額>比較平均給与等支給額
(適用年度前年度)
対象給与等は継続雇用者への給与等です。すなわち適用年度及びその前年度の両方で支給を受けた
国内雇用者への給与等です。
④雇用促進税制との重複適用はできません。
⑤設立1年目から所得拡大促進税制を適用できます。基準雇用者給与等支給額の計算について調整計算を
行う必要があります。
(注)④の雇用促進税制は平成23年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度において一定の
要件を満たす場合には、40万円に前期末に比して増加した雇用者数を乗じた金額(当期の法人税
額又は所得税額の10%(中小企業は20%)を限度)を税額控除できる制度です。
ただし事業年度開始から原則2ヵ月以内に公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行ない、事業
年度終了後に確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨を記載した書
類の写しを確定申告書に添付することが必要となります。設立1年目は適用できません。
|
〔5〕印紙税
|
平成26年4月1日消費税率が5%から8%に引き上げられたのに伴って印紙税について次の改正が行なわれました。
(1)不動産譲渡契約書及び建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置の延長及び拡充が行なわれました。
①不動産譲渡契約書及び建設工事請負契約書については、平成25年4月1日から平成30年3月31日までに
作成されるものについて、印紙税の軽減措置が適用されます。又平成26年4月1日以降作成される
契約書については、印紙税の軽減措置が拡充されることとなりました。
契約金額 |
印紙税額 |
不動産の譲渡に関する
契約書 |
建設工事の請負に関する
契約書 |
平成25年4月1日
~平成26年3月31日 |
平成26年4月1日
~平成30年3月31日 |
10万円超 50万円以下
50万円超 100万円以下
100万円超 500万円以下 |
100万円超 200万円以下
200万円超 300万円以下
300万円超 500万円以下 |
400円
1千円
2千円 |
200円
500円
1000円 |
500万円超~1,000万円以下
1,000万円超~5000万円以下
5000万円超~1億円以下
1億円超~5億円以下
5億円超~10億円以下
10億円超~50億円以下
50億円超 |
1万円
1万5千円
4万5千円
8万円
18万円
36万円
54万円 |
5,000円
1万円
3万円
6万円
16万円
32万円
48万円 |
(2)領収証等に係る印紙税の非課税範囲の拡大
従来金銭又は有価証券の受取書については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされ
ていましたが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものにつ
いて非課税とされることとなりました。
5万円以上100万円以下
100万円超200万円以下
200万円超300万円以下
300万円超500万円以下
500万円超1千万円以下
1千万円超2千万円以下
2千万円超3千万円以下
3千万円超5千万円以下
5千万円超1億円以下 |
200円
400円
600円
1千円
2千円
4千円
6千円
1万円
2万円 |
1億円超2億円以下
2億円超3億円以下
3億円超5億円以下
5億円超10億円以下
10億円超 |
4万円
6万円
10万円
15万円
20万円 |
|
〔6〕消費税
|
(1)平成27年10月に予定されていた消費税率10%への再増税は延期され、平成29年4月からとなり、
「景気判断条項」を付さず、確実に実施する予定です。
(2)消費税における課税売上割合の計算における金銭債権の譲渡対価の算入割合の見直しがされました。
①課税売上割合の計算上、金銭債権の譲渡については、有価証券の譲渡等と同様に、譲渡対価の5%
相当額のみを分母に含めるとされました。
②平成26年4月1日以後の譲渡から適用されます。
③事業譲渡などで売買する金銭債権も対象となります。
④自動車リサイクル預託金も金銭債権に属するとされていますので、平成26年4月1日以後に中古車
販売を行った場合は、課税売上割合の計算上、リサイクル預託金相当額については5%相当額のみ
を分母に含めることになります。
取引 |
消費税の課税区分 |
<自動車取得時>
リサイクル料金の預託 |
不課税 |
<中古車の譲渡時>
リサイクル預託金の譲渡 |
非課税
売上 |
<廃車時>
リサイクル預託金の費消 |
課税
仕入れ |
(3)電子商取引に対する課税
国外事業者が、国内の消費者等に対して行う電子書籍や音楽、広告の配信など電子商取引について
消費税が課税される改正が平成27年10月1日行なわれます。
海外からの配信については、配信先によって納税の仕組みが異なります。
国外事業者から国内の消費者向けの場合、国外事業者が消費税を納めますが、国内の企業向けの場
合は、配信を受ける国内企業が消費税を納めます。
|
現 行 |
改正後 |
国外事業者が国内消費者等に対して行う
電気通信役務の提供 |
国外取引
(不課税) |
国内取引
(課税) |
国内事業者が国外消費者等に対して行う |
国内取引
(輸出免税) |
国外取引
(不課税) |
(4)来日芸能人等の報酬に係る消費税の課税方式の見直しがされました。
日本で行われた人的役務の提供は国内取引に該当し消費税の課税対象となりますが、平成28年4月
1日から消費税に係る納税業務が、イベント会社や代理業者等に転換されます。すなわち来日芸能人
等には税抜金額のみ支払います。
→リバースチャージ方式
(5)接待飲食費の50%損金算入における控除対象外消費税額等の取扱いについて
①法人の課税所得の計算上、消費税等の経理処理として税抜経理を採用している場合は、控除対象
外消費税額等が生じます。交際費等に係る控除対象外消費税額等は交際費等の額に含まれるため、
その金額を基に損金不算入額を計算します。
②平成26年4月1日以後開始事業年度から、交際費等のうち接待飲食費の50%相当額を損金算入でき
る制度が創設されましたが、この制度の適用にあたり、飲食費に係る控除対象外消費税額等につ
いても、帳簿書類への記載を要件にその50%相当額を損金算入できます。
(6)基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超える法人が50%超出資して設立された法人は、
資本金の額が1,000万円未満であっても消費税の申告納税が必要です。平成26年4月1日以後に設立
される法人から適用されています。
|
〔7〕国際税務
|
(1)総合主義から帰属主義への移行
①日本に源泉のあるすべての所得を総合合算して課税する総合主義から日本に支店等の恒久的施設
を有する外国法人については恒久的施設に帰せられる所得について法人税の課税対象とする帰属
主義へ移行します。
②平成28年4月1日以後開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用され
ます。
(2)外国子会社配当金の益金不算入制度の見直し
①外国子会社配当金の益金不算入制度は、持株割合が25%以上、かつその配当等の支払義務の確定
日以前6月以上保有している外国子会社から、日本の親会社が受けた配当金額のうち95%相当額を
益金不算入とする制度です。
②子会社の所在地国で損金算入が認められる配当(例えば、オーストラリアの優先株式等)につい
ては、支払いを受けた日本の親会社の益金に算入して課税されます。
③②により課税される配当等に課される外国源泉税等の金額については、外国税額控除の対象と
します。
④平成28年4月1日以後開始事業年度において受ける配当等について適用されます。ただし、平成
28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する各事業年度において受ける配当等で、平成28年4月1日に
おいて有する外国子会社の株式等に係るものについては、従前通りの扱いとなります。
(3)移転価格税制
①現状外国法人の日本支店とその外国法人の本店との取引は法人内部の取引のため移転価格税制の
対象外の取引となります。
②外国法人の日本支店と外国法人の本店との取引について国際課税原則の総合主義から帰属主義に
見直されることにより本支店間の内部取引に対しても移転価格税制の適用が行なわれるようにな
ります。
③平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用になります。
|
〔8〕マイナンバー制度
|
(1)平成28年1月1日以降に提出する扶養控除等申告書等に、控除対象配偶者・控除対象扶養親族の
「個人番号」を給与所得者が記載し勤務先に提出しなければなりません。
(2)1法人に対し1番号のみ指定されますので、法人の支店や事業所等には指定されません。個人事業
者に対しても法人番号の指定はありません。
(3)人格のない社団等は一定の要件に該当する場合は届け出により指定を受けることができますが、
給与等に係る所得税の源泉徴収義務がある場合には届け出等を要することなく、国税庁長官が法人
番号を指定・通知します。
(4)法人番号の通知先は本店又は主たる事務所の所在地へ通知され、法人番号の公表方法はインター
ネットを通じて行なわれます。
(5)番号法整備法や税法の政省令の改正により、税務署等に提出される申告書・法定調書等の税務関
連書類に個人番号・法人番号を記載することが義務づけられました。
(6)①所得税や贈与税について、平成28年分の申告書(平成29年1月以降に提出するもの)平成28年分
の準確定申告書にあっては(平成28年中に提出するもの)から適用されます。
②法人税については、平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から適用されます。
③消費税については、平成28年1月1日以降に開始する課税期間に係る申告書から適用されます。
④相続税については、平成28年1月1日以降の相続又は遺贈に係る申告書から適用されます。
⑤酒税・間接諸税については、平成28年1月分の申告書から適用されます。
⑥法定調書については、平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから適用されます。
⑦申請・届出書等は平成28年1月以降に提出するものから(税務署等のほか、給与支払者や金融機
関等に提出する場合も含む)適用されます。
(7)税理士等の代理人が顧客の申告書等を提出する場合には、代理権、代理人の身元及び本人の番号
を確認することになります。具体的には、委任状や代理人の個人番号カード等による確認方法が
示されています。
|
|
|
|
|
|
|